さまざまな業界の中でも、飲食という業界はとても競争の激しい世界だといえます。せっかく独立しても開業2年目までの撤退率が特に高く、10年お店を続けられれば成功とも言われるほど厳しいものなのです。
人々の暮らしと共に発展を遂げてきた飲食業界は、既に成熟しきった産業ともとらえられています。つまり、IT企業などのように、これから急成長していく業界ではなく、成長率もほぼ前年と変わらないということです。または、日本では人口の減少により、さらに飲食業界全体の売り上げが低迷してきているともいわれています。
飲食業界のノウハウ本やマニュアルなどは山の数ほど出版されていますし、アイデアはほぼ出尽くしているといわれていますが、今回は改めて飲食店に成功の秘訣について熟考していきたいと思います。
飲食店の要といえる存在は店長です。経営者は店長にマネージメント管理を教えていきます。飲食店の成功は、経営者と店長によるマネージメントにかかっているからです。
経営者が店長のマイクロマネージメントをすることはとても重要です。実際、繁盛している飲食店の経営者は、店長とよい関係を築いくことができています。
コミュニケーションの方法として、毎日の業務内容を日誌に書かせて報告させるものがあります。少々古典的ともいえますが、この作業を毎日することで、店長自身もマネージメントを後から確認できるという利点があります。
さて、日誌の内容は、とにかく細かく仕分けていくことがベストです。従業員のスケジュール作成・管理、材料（料理・飲料・アルコールなど）の在庫確認、仕入れ確認、店舗のアドバタイズ活動、損益計算、従業員への指導やその内容、店舗の衛生管理の確認、店舗マニュアルの確認、取引先とのやりとりなど、細目に記載していきます。
経営者がチェックをすることで、ミスも減少しますし、お客さまにクオリティーの高いサービスを提供することもできます。そして日誌を介し、直筆でねぎらいの言葉をかけたり、いいところを褒めたりすることで、店長との信頼関係を築いていくことができます。そして、重要なことは、店長はマネージメントに集中させる環境を作るということです。
経営者側としては、この日報をしっかりとマニュアル化し、理想の店舗づくりをしていくと共に、マニュアルは、日々アップデートさせ、向上させていく姿勢が必要です。
次に、成功する飲食店に欠かせないのは、立地条件があげられます。では、お客さまが来店しやすい立地条件とはどのようなものでしょうか。
簡単に思いつく条件は、交通量や人の行き来が多い場所、オフィス街、駅前、駅の近くなどです。しかし、このような好条件の場所であると、それなりに賃貸料も高額になってきます。また、お店のコンセプトによっては、人通りが多く、騒音が気になるような場所が似合わないこともあるでしょう。まずは、自分のお店がどのような顧客をターゲットにするかを決定する、などのマーケティングが必要になります。
顧客のターゲットには、年代や性別にはじまり、配偶者の有無や子どもがいるかいないか、自家用車を所持しているかいないかなど、細かく分別することができます。ターゲットが決まれば、どのような場所がよいかもおのずと見えてくるはずです。
例えば、カフェをオープンする場合、ターゲットを独身の若い女性に絞るとしたら、あまりにぎやかな場所は避けたほうがいいと考えることもできます。自然が溢れる落ち着いた場所で、ゆっくりと過ごしたいというニーズが想定できるからです。多少人通りが少ない立地物件でも、ターゲットによっては十分に集客が見込まれます。そして、人通りから外れているため、家賃も安く済ませることが可能です。
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立地条件を決めるときには、お店のコンセプトを考える前に、逆に人通りの多い場所に合うターゲットとの人物像を考えてみるのもいいでしょう。オフィス街に立地条件を決めれば、自然とターゲットはオフィスに働く人になります。そして、オフィスで働く人はランチを外で食べる機会もありますし、就業後の飲み会の場なども需要があるのです。
お店を出店するときには、自分のやりたいお店のコンセプトを決めてからという人が大半かもしれませんが、成功をするためには熟考したマーケティング戦略が必要となってきます。自分が理想とする店のコンセプトが決まっているのなら、そこから自分のお店に来るお客さまの年齢など、細かくターゲットをイメージしていき、そこからその人が来店しやすい場所を絞り込んでいけば、立地条件も絞り込めて行けるのではないでしょうか。
ただ単に、自分がこの場所が気に入った、自分のやりたいお店をここでやるといったような、安易な考えでお店を初めてしまうと、たいていの場合が失敗してしまいます。開業前にはしっかりとマーケティングリサーチをすることをおすすめします。
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顧客のターゲットをしっかりと決定づけていくことはとても重要です。顧客のターゲットには年代や性別をはじめとして細かく分けることを説明しました。ターゲットが決まれば、コンセプトもおのずと決まってきます。例えば、オフィス街に開業にすれば、顧客のターゲットはオフィスで働く人になります。そして、ターゲットが決まれば、コンセプトはランチ、終業後の飲み会の場、となっていきます。
ここで、ターゲットにあったランチの価格設定が必要になります。そのため、オフィス街で働く人はランチに平均でいくら使うのかをリサーチします。
よく目にするのは、「ワンコインランチ」です。500円で提供するのであればそれに合ったメニューを考えていけばよいのです。
最近であれば、男性サラリーマンの平均ランチ代は、590円程度です。オフィス街でのサラリーマンのランチの価格設定はかなり低めの500-600円といったところでしょう。
しかし、オフィスに努める女性のランチ代の平均は男性サラリーマンよりも少々高めで800円前後です。女性をターゲットにすれば、価格設定は800円前後になります。
次に、終業後の飲み代はについて調べてみます。サラリーマンの平均的な飲み代は20代から50代の平均で、5000円前後となっています。外で飲む場合には価格設定も少し高めにとれるようですので、この値段設定でコース料理や飲み放題設定などのコンセプトを考えていくことができます。
このように、ターゲットに合わせて、マーケティングをし、コンセプトや価格設定を決定してみてください。
飲食店を成功させるためにはレイアウトも意識したいところです。例えば、内装が煩雑になっていて従業員同士がぶつかってしまうような作りをしてしまうと、動きが鈍くなってしまい、結果お客さまを待たせてしまう可能性もあります。ほかにも化粧室が出入りの激しい場所の近くは好まれません。また、過度にスペースが空いてしまうと来店人数も限られてしまいます。このような点から、レイアウトには注意して考えることが必要とされます。
お客さまも従業員もストレスなくスムーズに動けるようなレイアウトを考えて設備などを設置するとよいでしょう。
集客をする上で、フライヤーやホームページなどさまざまな方法があげられます。しかし、これらを行うと膨大な費用がかかってしまいます。そのため、時代に即した集客術を使うことで費用を抑えられるだけではなく、集客効果もあります。
例えば無料SNSを活用してクーポンの発行や、フォローをしたり店名を入れて投稿してくれたりすると、そのお客さまにサービスを行うといった方法があります。この方法であれば、お店の情報が拡散されやすいだけではなく、知り合いが行ったから行ってみようと考える方も出てくるため、さらに新規のお客さまが増えることもあります。どのような方法が集客によいのかを判断することも成功の秘訣となるでしょう。
飲食業界の歴史は長く、今までに星の数ほどのアイデアやコンセプト、マニュアルなどが作られてきました。この業界は成長しきっているため、成功するのは非常に難しいと言われている世界でもあります。しかし、マーケティングリサーチを深く調べれば調べるほど、成功をつかむ秘訣といえます。自分の夢や、理想など安易な考えでお店を始める人はとても多いと思います。そこを決めた後は、それを求めているお客さんがどこにいるのか、どんなところなら集まりやすいのかなど、マーケットリサーチを深くしてみてください。綿密な計画は成功する近道となることでしょう。
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